「宝彩有菜アドバンスコース」付録１3　
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0１3 　「悪魔払いの呪文」
　　宝彩有菜

怒っている人は悪魔に魅入られる。

フィリ５4号(2000/10),魔除けの呪文

いつも人に優しく思いやりのある心を持ち続けられたらいいのですが、人は誰でもつい人を攻撃していたり腹を立てたりします。そしてその腹立ちが収まらないで昂じてくると手に負えなくなってきます。

それが暴力になると大変ですが、そうならないまでも、取り返しのつかない言葉を口にしたりします。あとで、「なんであんなことを言ったのかしら、あんなことを普段の私が言うはずはないのに」と、まるで自分に悪魔が乗り移っていたような気にさえなります。

そこで今回はこの悪魔に魅入られないための魔除けの呪文をお教えします。
自分が怒っていることに気づいたら直ちに唱えると効果テキメン、悪魔はすぐに退散してしまい、すぐに平穏な優しい自分に戻れます。

その呪文をお教えするまえに、なぜ呪文が悪魔を退治することができるのか説明をしておきます。ただ唱えるだけでも効果はありますが、仕組みを理解した方が使い方もはっきりしますし、応用も効くからです。

（悪魔に魅入れ易い怒り）
まず、怒りがエスカレートする仕組みですが、それは「頭」は「これは重要だ」とか「緊急だ」と思うテーマを考え始めると他のテーマに向かえないからです。これは物事に集中するという頭の特性の一つです。それが良いテーマならば集中力があると誉めてあげてもいいことですが、悪いテーマでも同じように集中してしまうから問題が起こる訳です。

また、頭の特性のもう一つに仕事熱心というのがあります。考え出した行動を比較して「もっと」有効な行動を取ろうと考えます。これも悪い働きではありません。でも悪いテーマでも「もっともっと」を発揮してしまいます。例えば、相手を修正するには、謝らせるだけでは不足だと考えます。許さない、お仕置きだ、いいやそれでも収まらない、とことんやっつける、復讐だなどと、どんどん過激になります。進み過ぎです。まるで悪魔に後押しされているようなものです。

（悪魔を追い払うには）
そこで、悪魔を追い払って頭を冷やすためには、このテーマから一旦抜ける必要があります。一つのテーマをつかんで離さない頭をどうにか、別のテーマに誘導しなければなりません。

例えば、怒りでカリカリ来ている時、誰かが「火事だ。逃げろ」と叫んでくれれば、それは身に危険を及ぼす重要なテーマですから、今までのテーマを放り捨てて頭は切り替わります。とにかく逃げる。何とか外に出て「ああ、助かった」と息を切らしながら青空を見上げると、さっきまで怒っていたことは、なんだかもう馬鹿らしくなってしまいます。つまり、もともとあまり重要ではなかったものなのです。「あはははは、俺もつまらないことで怒っていたな」と笑えるものです。

でも、いつも誰かが「火事だ」とタイミング良く叫んでくれるとは限りません。ですから、自分で意識の切り替えをしなければなりません。でも自分で「火事」のようなテーマを見つけ出すのは難しいですね。

そこで、こうします。自分が怒っていると気付いたら今集中している「怒り」とはまったく関係のない言葉を、とにかく唱えます。例えば「イチ、ニ、サン、シ、ゴ、ロク、・・・」でも良いです。唱えることに意識が向かえば「怒り」の無造作な増幅は止まり悪魔を追い払うことができます。
でも、「イチ、ニ、サン・・・」は簡単すぎて意識が「怒り」の方へすぐに戻ってしまいます。もう少し強力で意識の集中が続くもの。

（お勧めの最強の呪文）
そこで、いろいろありますが、比較的ポピュラーな般若心経の中に出てくる「大明呪」という呪文をお勧めします。有名な呪文でインドでも中国でも日本でも世界中で同じ発音です。呪文ですから音の連なりで文意はありません。これが適度の難しさで、しかも強力です。

「羯諦羯諦　波羅羯諦　波羅僧羯諦　菩提僧婆訶」

（読み方、ギャーテイギャーテイハーラーギャーテイハラソーギャーテイボージーソワーカー）

これを心の中で間違えないように唱えます。間違えないようにと意識を集中することに意味があります。２、３回繰りかえすだけで、頭は怒りのテーマからは一旦離れることができます。冷静になれます。

すると「まぁ、相手も一生懸命やったんだし」とか「相手もまだ、未熟なのだから」などと相手を許せる見かたができるようになります。目出たく悪魔を追い払って余裕のある自分自身に戻れたということです。

人生では本当に怒らなければならないことは、たとえあったとしても一生に一度か二度くらいのものです。後は、怒らなくてもいいことを私たちは怒っています。悪魔に魅入られ易いからです。その悪魔をさっさと退治しましょう。大明呪が有効です。

そして、怒りに落ち込まないようにして、いつも思いやりと優しさに溢れた幸せで実り豊かな人生をおくりましょう。ちょっと注意するだけで誰でもそうなれます。そしてこの悪魔払いのやり方が体験納得できたら人にも教えてあげましょう。
怒っているのはあなた自身ではなく悪魔なのですよと。

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（宝彩有菜）
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