「宝彩有菜アドバンスコース」付録７ 
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自然の動物や植物は、何も難しいことを考えずにその生を謳歌し、そして自分の運命をやすやすと受け入れているように見えます。私たちも時には自然に溶けて、ただこの宇宙に居ることの幸せを感じたいものです。
今回はもともと誰でも持っているこの「生きている至福」を感じるため方法、「宇宙の音を聞いてみる」をお教えします。自分を消して自然に溶け込む方法です。
《自分が消えると至福になる・・》
「自分」が消えて自然に溶けると、どうなるのでしょう。まず、「自分」が消えると「自分」にくっついているすべての苦しみや悲しみがなくなります。自分と自然の境を消すとそうなります。するとものすごい幸福感、「至福」を感じます。私たちを含めてすべての生き物はもともと至福のなかに生かされているからです。
でも、なぜ人間はその至福を感じることができないのでしょう。 人間も動物で自然の一部ですから自然に溶ける幸せを感じることができても良いはずなのに、そうなっていません。溶けるどころかすぐに自然と自分とを分けてしまいます。それはなぜか。まずその理由をお話ししましょう。
《自分が消えない理由》
例えば「音を聞くこと」でもそうなります。説明します。テープレコーダーで会話などを録音したのを後から聞くと雑音が入っていてとても聞き取りにくいですね。それでも会話の声だけに意識を集中すればなんとか聞けます。集中とは聞きたい音と不要な音を分ける「聞く」ための作業の一つです。また、音から得られた情報についてあれこれ考え過ぎていると、相手から「ねぇ、ねぇ、話し聞いてんのぉ」と言われたりしてしまいますね。
実は、私たちは音を単に聞くより、その音が自分にとって何を意味しているか、自分はどうすべきかということの方により多くの精神的エネルギーを使っています。
このことが実は自分と自然とを分けることになっているのです。目の前の人の話しすら聞けていない状態では、鳥の音や風の音は全然聞こえません。「自分」の内側ばかり意識が回っていますから、どんどん自然から遠ざかります。自然に抱かれているとはとても感じられません。ではどうするか。
《自然に溶ける方法》
さて、もうお分かりのように意識が自分の内部に向かうからまずいのですから、それをやめれば良い訳です。「意識を外に留めておく」。としかし概念的に言っても難しいですね。
具体的に。こうしてください。自分の後方の音を聞いてください。さらに具体的に言うと、耳たぶの裏側を意識してください。
「耳たぶ」は実は音のする方に意識を集中させるための仕掛けです。ですから集中をやめるためには、前方の音だけでなく、後ろの音もしっかり聞くのだと思います。
後方の音を聞く。なるべく静かにゆっくり呼吸をした方がなお良く聞こえるハズです。しばらくすると今まで聞こえなかった時計の音や冷蔵庫の音など、色々な生活雑音が聞こえてくると思います。普通、生活雑音は気にしなくなっていますから、それをまず「耳の後ろ」に意識を持って行って改めて聞き直してください。これは簡単ですからすぐできると思います。
《宇宙の音を聞く》
それができたら同じ感じで、意識をゆっくりと首から両肩、胸、背中と降ろして行きます。低い音や小さな音は身体全体で聞くのだと思ってください。三百六十度全部の音を聞きます。その時目線はゆったりさせて置きます。夜ならば宇宙の遠くの星たちのささやきも全部聞く積もりです。
自分が自然に溶け込もうとするのではなく、自分も大宇宙の一部だと感じてください。静かなゆったりとした時間が流れて行くのを感じながら周りの音を全部聞く。さらに遠くの小さな音も全部聞く。宇宙の果ての音までも全部聞く。
この訓練は一人の状態ならいつでもできます。例えば都会の通勤電車の中とか、喫茶店で一人で座っているときとか。歩いているとき、座っているとき。コツはすべて聞こえてくる音をそのまま意味を考えずに聞こえるままに楽しむことです。たとえ言葉が聞こえて来ても、意味を捕らえようとしないで音を楽しんでください。
しばらく練習するとどんな音を聞いても、「自分」という内的な方向に思考を走らせないままでいれるようになります。すると素晴らしい気分になります。何とも言えず嬉しくなってきます。そして「ああ、そうだ」と思い出します。 赤ちゃんの時、初めて「音」を不思議に思って聞いた頃の感じです。何の音か分かりませんがとにかく「音が聞こえる」ことが嬉しくてニコニコしていた時のことです。遠くの自動車のエンジンの音や台所でお母さんがトントンとお料理をしている音を聞いて居たあの懐かしい、でもすごく楽しい感じを思い出すと思います。この地球という星に生まれて来たことが、嬉しくて嬉しくて「音が聞こえる」ことにすごく感動していた最初の頃の事です。その生きている喜びを再び実感できます。
是非「宇宙の音を聞く」を毎日五分でもゆったりとやってみてください。すぐに生活に潤いが戻ってきます。優しい気持ちになれます。極めると忘れていた「至福」を味わえます。
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（宝彩有菜）